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【遣唐使でおなじみ】楊貴妃と安史の乱に揺れた唐の時代

チャンネル銀河では、武則天から50年後の唐に実在した才女・沈珍珠と皇帝・代宗の愛の物語を描いた中国歴史ドラマ「麗王別姫~花散る永遠の愛~」を、2018年4月9日(月)より日本初放送いたします。これを記念し、KOBE鉄人三国志ギャラリー館長でもある英傑群像代表の岡本伸也氏に、ドラマの舞台である「唐」の時代について語っていただきました。

注目される唐の時代

先日、映画「空海−KU-KAI− 美しき王妃の謎(原題:妖猫伝)」が上映になりました。僧侶・空海が主役の日中合作映画で、白楽天(はくらくてん)と共に楊貴妃(ようきひ)の謎を解くというお話。スケールの大きさと映像美には唐の時代の繁栄を感じる事ができました。

さて、もうすぐ始まるドラマ「麗王別姫〜花散る永遠の愛〜」も物語は唐の時代。時期はかなり重なっています。繁栄から末期へ向かう混乱の時代の中、第11代皇帝 代宗(だいそう)こと李俶(り しゅく)の妻となる沈珍珠(しんちんじゅ)の物語です。ちなみに中国で放映された時には、女優さんたちの美貌が話題になったそうです。

遣唐使が派遣されていたこともあり、唐の時代は日本との関係においても気になる時代だと思います。ドラマも映画も時代背景がわかればより深く物語を楽しめる!ということで、今回はいま熱い”唐の時代”について、あまり知らない方向けに、日本人におなじみの”三国志”と絡めながらご紹介していきたいと思います。

絶世の美女と称された楊貴妃(『麗王別姫~花散る永遠の愛~』より ©2017 H&R Century Pictures Co.Ltd.All Rights Reserved.)

唐といえば詩人たち

唐の時代は618年~907年ですが、三国志の時代(180~280年頃)、あの有名な曹操(そうそう)が政治に詩を持ち込みました。その後、詩を作る事が出来るというのが官僚の必須条件になっていきます。

唐の時代の繁栄は、日本人でもよく知る有名な詩人・李白(りはく)杜甫(とほ)、先ほど紹介した映画にも出てきた白楽天または白居易(はっきょい)らを続々と生み出した時期でもありました。ちなみに杜甫は三国時代の「破竹の勢い」で有名な将軍杜預(とよ)の子孫です。

美女と悪女

歴史を知らなくても絶世の美女・楊貴妃(ようきひ)については誰もが聞いたことがあると思います。

楊貴妃は、唐の第9代皇帝 玄宗(げんそう)のお妃で「中国四大美女」の一人といわれます。三国志の貂蝉(ちょうせん)も架空の人ながらその一人に選ばれています。ちなみにあと二人は西施(せいし)、王昭君(おうしょうくん)[卓文君(たくぶんくん)、虞美人(ぐびじん)が入る場合も有]。

これらの人に共通しているのが、美人であるのは当然ながら”悲劇の美女”である点でした。

ちなみにこれとは対照的に「中国三大悪女」といわれる人がいます。呂雉(りょち)、西太后(せいたいごう)、そして武則天(ぶそくてん、則天武后)です [妲己(だっき)が入る場合も有]。武則天はちょうど玄宗の前の時代、唐を一時滅ぼして唯一の女性皇帝になった人物です。ちょうどそのあたりはドラマ「武則天-The Empress-」を見て頂ければ話が繋がり、わかりやすいかもしれません。

中国史上唯一の女帝となった武則天(『武則天-The Empress-』より ©2014 ZheJiang Talent Television & Film Co., Ltd. All Rights Reserved )

玄宗と楊貴妃と安史の乱

玄宗は、息子の妃だった楊貴妃を奪う形で妃としました。玄宗は善政で唐の絶頂期を作った人ですが、楊貴妃を寵愛し過ぎた為に、晩年は政治をおろそかにして楊貴妃一族の楊国忠(ようこくちゅう)の専横を許し、玄宗と楊貴妃も可愛がっていた将軍の安禄山(あんろくさん)が楊国忠と対立し反乱をおこす「安史(あんし)の乱」の原因をつくってしまいます。

規模は違いますが、三国時代の曹操と雛氏(すうし)も同様な事件がありました。元々、兄嫁だった雛氏と曹操が親密になることを怒った張繍(ちょうしゅう)の反乱により、曹操は命を落としかけています。

この反乱は安禄山の勝利が続き、唐が一時滅びかけます。その際、原因を作ったとされる楊国忠は殺害され、玄宗は部下たちに楊貴妃の殺害についても要求されます。玄宗はその要求を受け入れざるを得なくなり楊貴妃を殺害したとされています。愛する人を殺さざるを得ない、愛する人に殺されるって心境はどんなものでしょうか?筆舌に尽くしがたい気がします。

玄宗の像(西安大唐不夜城)

波乱は続きます。洛陽を抑え皇帝を自称した安禄山でしたが、1年後、病気で目が見えなくなったことで粗暴になり、息子に殺されることになります。そんな中、玄宗の息子 李亨(りきょう)が第10代皇帝 粛宗(しゅくそう)となり、子の李俶 (のちの代宗)らの活躍により「安史の乱」を鎮圧。唐を再建することになります。

ちなみに、安禄山は反乱以前に張九齢(ちょうきゅうれい)という人物から「反骨の相(反乱する風貌や骨格)」があると言われています。これは三国志の武将・魏延(ぎえん)も同じでした。魏延との違いは反乱が成功していることです。また、安禄山は巨漢で、国を牛耳ろうとした点や虐殺・略奪をいとわない姿勢など、三国志の董卓を彷彿とさせる部分が多くあります。こちらは共に暗殺という末路を辿りました。

その後、唐の繁栄も長くは続かず、唐末期は宦官が台頭して政治が不安定になり、農民の反乱「黄巣(こうそう)の乱」が起きて国は亡びる事になります。三国志の後漢末期とそっくりですね。三国志では「黄巾(こうきん)の乱」がおき、劉備・曹操らが登場して活躍します。

遣唐使で日本人(吉備真備、阿倍仲麻呂、空海、最澄などなど)らも色々と絡んでくる唐の時代。我々日本人にとっても非常に面白い時代だと思います。

おまけ!山口県の楊貴妃伝説

楊貴妃は、阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)に救われて日本に渡ったなんて逸話もあります。山口県には秘かに生き延びて日本に渡ったとされる楊貴妃の墓といわれるものが存在します。いろいろ想像するとロマンが掻き立てられますね。ご興味がある方は是非行かれてみてください。

楊貴妃の像(山口県長門市)

岡本伸也
英傑群像代表。三国志プロデューサー。三国志や古代中華系のお仕事だけで17年以上活動中。KOBE鉄人三国志ギャラリー館長。元KOBE三国志ガーデン館長。三国志雑誌・コラム等執筆。三国志グッズ、古代中華グッズを取り扱うサイトを運営。漫画家「横山光輝」氏の故郷&関帝廟(関羽を祀る)のある神戸で町おこし活動中!
http://www.kobe-tetsujin.com/gallery/

中国歴史ドラマ「麗王別姫~花散る永遠の愛~」

放送日:2018年4月9日(月)スタート 月-金 夜11:00~ 第1話スカパー!無料放送
※リピート:10日(火)スタート 月-金 朝9:30~
番組ページ:https://www.ch-ginga.jp/feature/reioubekki/

 

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