非公認なのに大人気!?
上野から1時間、古い町並みが残り「関東の小京都」と称される茨城県古河市。
古い古民家などを活用したオシャレなカフェなども多いというこの町に、日本の重要な課題である「地方活性化」のヒントが隠されている好事例があり、話題を呼んでいます。
それは古河の偉人である土井利位及び鷹見泉石をモデルにしたご当地キャラ「こがにゃんこ」。
ご当地キャラは熊本県の「くまモン」の大ヒットで有名なとおり、すでに全国各地がまちおこし、地方活性化の切り札として活用していますが、このこがにゃんこが凄いのは「非公認」である、ということなのです。
非公認キャラにも関わらず、こがにゃんこは、これまで古河市内の障がい者施設との製品開発コラボ(こがにゃんこクッキー)を初めとして、古河西口商店街歳末セールポスター、古河駅開設130周年記念グッズ(団扇)、古河市成人式記念品(ボールペン)、古河駅ビルリーフレット等々、さまざまなシーンでこがにゃんこが使われるようになりました。
さらに昨年8月、誕生一周年を記念し、新たなプロジェクトとしてプロの作曲家と声優さんを配して「こがにゃんこ体操」なるものも考案中、先日歌入れをおこなったそうです。
また今回、古河市内の古民家レストラン・サンローゼ にて、4/5(火)までの期間限定で、こがにゃんこを使った二つのメニュー(ラテ&パフェ)の提供をされています。
ご当地キャラを活用したメニューを市内の飲食店で提供するという取り組みは、非常に珍しく各方面からも注目を集めているとのこと。
「非公認」、つまり言い方を変えれば「勝手に作って宣言した」ものですが、それがなぜここまで成功、市民に受け入れられているのでしょうか?
郷土愛深いクリエイターの思いが人を引き寄せ、つないだ
こがにゃんこは、中高のころに古河市で暮した経験から、古河市を深く愛するイラストレーター小太刀御禄(こだちみろく)さんが生み出したキャラクター。
戦略やプロデュース、さらにデザインは全て彼女が考えてのアプローチ。
現状一番の課題は彼女の構想を具現化したコンテンツがさらに必要だということだそうです。
「可愛いキャラクターを通して歴史に親しんでもらい、古河の街を活性化したい」というのが彼女の願い。
地方活性化との手法として歴史は大変に有効なモチーフですが、すでにやっているところは数限りなくある。
あとはご当地食材をつかったお菓子開発などですが、これも正直なところ珍しくない。
それがなぜこれだけ成功しているのか。
その原因を考えてみたのですが、まずは非公認であれ、小太刀さんが愛する古河のために自分の時間を使って生み出したその「思い」が、多くの同じような古河を愛する人達の心を動かしたというのが最も大きいと思います。
生まれただけじゃダメ!ご当地キャラを「育てる」戦略とストーリーが必要
また、キャラクターができても、そのキャラクターをどう活かすか、というところにおいては戦略に基づいたストーリーが必要。
行政主導の公認ご当地キャラを公募しても、きぐるみ作ってイベントに出て、そしてSNSで発信する、という手法は似ていても、キャラ誕生後も含めた戦略を立てることがないと、その認知は拡がっていかないと考えます。
このような戦略・ストーリー構築もデザイナーやマーケッターにとってみればある意味常識的なものですが、これが抜け落ちたまま誕生したキャラがイベントで孤軍奮闘だけ、というのは、やはりもったいないですよね。
現在、地方活性をめざしている各自治体や企業などの方々は、この「こがにゃんこ」の成功事例をもとに、町を愛するクリエイターたちを発掘する仕組みを包括的に考え、地域を結んでいく施策を戦略・ストーリーをも併せて巻き込んでいくという包括的な考え方が必要とされるのではないでしょうか。
それを実践し実績をあげてきた小太刀さんは、デザイナーでありながらマーケティングやブランディングといったものの考え方を今回歴人読者の方のために教えてくれましたので、興味のある方はぜひご覧になってください。
「ねこの手も借りてる地域デザインのメモ帳」(ウマイ・・)
デザイナーはこれからの時代、彼女のようにマーケッター的視点を持ちながらPDCAサイクルを実践し、戦術を柔軟に変更していくことが求められてきています。
熊本の友人に聞きましたが、あの大ヒット「くまモン」も、最初に出したキャラクターのデザインを、ファンや地元の声を細かく聞きあげ、デザインをマイナーチェンジしていくことであそこまでになったそうです。
つまり「デザイン至上主義でマーケットセンスがない」「周りからやいやい言うだけ」「企画に思いを寄せず杓子定規で冒険しない」
そんなメンバーがどれだけ集まっても、こういったプロジェクトが、第三者である地域を巻き込んで昇華することはあり得ません。
とはいえ常に立ちはだかる予算の問題もあるかと思います。しかしそこをクリアするのが前述の「思い」の部分。
行政・民間・個人が「地元を愛する思い」を軸に連携するアイコンとしてご当地キャラが存在する。
その思いが根底にあるからこそ、通常の仕事では実現しにくい金額でも協力してくれる、小太刀さんのような優秀なクリエイターがいるはずですし、それを支える行政や企業側にもそれぞれのフィールドで、プロジェクトの成功をサポートするというチーム編成ができれば理想的ですよね。
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こんなふうに地元への思いを軸にして、デザインの力で「見える化」しながら周りを巻き込む包括的なアプローチが、ご当地キャラクターが誕生した後に、市民のあいだに愛され親しまれることの肝になるのではないか、そう思います。
誕生以来、歴人マガジンでもこのプロジェクトを何度も紹介してきました。
しかし個人のプロジェクトでありながら、非公認でありながら大きな広がりを着実にみせているこがにゃんこを、ただ今回カフェメニューになったというお知らせだけにするのはもったいないと思い、今回はちょっと違う視点からマジメに語らせていただきました。
少しでも地方活性化やご当地キャラの活用にお悩みの方の参考にしてもらえたら幸いです。
また、同じようにご当地キャラで繋がりを深めている事例などがあれば、ぜひ歴人マガジンまでお問い合わせください。可能な限り記事としてご紹介していきたいと思います。
古河のまちの活性化のためにがんばるこがにゃんこ、これからも応援していきたいと思います。
がんばれこがにゃんこ!
編集長Y
参照元:
「こがにゃんこ」オフィシャルサイト
「こがにゃんこ1周年」特設サイト
「イバラキトミン」小太刀御禄オフィシャルサイト
「こがナビ」古河市観光協会オフィシャルサイト
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