城州信國、奥州兼定、武州虎徹、土州吉行・・・
日本刀ファンならご存知かと思いますが、これらは幕末から明治維新にかけて活躍した西郷隆盛、土方歳三、近藤勇、坂本龍馬らの愛刀です。
今回2018年の維新150年を前に、これら幕末の志士たちの愛刀を「手ぬぐい」にして蘇らせ、武士の魂、日本の心を表現するというクラウドファンディング(リターン付き支援)のプロジェクトが、和文化発信をテーマに活動する合同会社「入谷のわき」主催で進んでいます。
まず、この絵のリアリティと世界観に興味を感じる人は多いかと思います。
それもそのはず、彼らの愛刀を描くのは江戸研究家・イラストレーターの善養寺ススムさん。
善養寺さんは「江戸の用語事典」「江戸の町とくらし図鑑」(廣済堂出版)などの著者でもあり、執筆だけでなくイラストも手掛けるほどの知識をもった方で、今回の作品にかける思いも人一倍。
彼が描く刀のストーリーもまたこの作品の価値を高めています。
初作は近藤勇の虎徹、そして描きたて土方歳三の兼定!
アイキャッチ画像にあるのは初回制作、新選組局長 近藤勇の愛刀 武州虎徹。
この刀に関する善養寺さんの解説を引用します。
虎徹は、江戸時代初期に江戸で活躍した刀工・甲冑師(かっちゅうし)の作です。虎徹(乕徹)は刀の名で、刀工は「長曽禰興里(ながそねおきさと)」です。
江戸時代の刀剣書で「最上大業物」と最上級の評価をうけました。そのため「大名差し」と呼ばれるセレブの刀で、贋作(がんさく)が非常に多く、本物を探すことの方が大変だと言われます。
甲冑師だった経験を活かし、鎧(よろい)を打ち破る刀を研究し刀を作ったため、極めて実践的なものです。反りがほとんど無いのは、鎧を突き抜くためです。近藤はその実践的な能力を好んだと言われます。
刃は明るく、初期の虎徹は「寛文新刀姿」と呼ばれる反りの少ないもの。延宝の頃、後期の作は反りのある伸びるような姿だと言われます。刃文は「互の目(ぐのめ)乱れ」で地鉄は板目肌。
いかがでしょう?このこだわりの知識をもって描かれた刀は、高精細プリントで、鞘から刃文まで美しく写真以上に臨場感溢れる再現を可能にしているそうです。
続いて2作目、まさに描きあがったばかりの土方歳三の愛刀「奥州兼定」もどうぞ。
兼定の解説はこちら。
会津藩主・松平容保から下賜されたと言われる、和泉守兼定。
容保の警護や拝謁の際に差していたものとされます。
兼定は会津藩に招聘された刀鍛冶で、代々名工として名高いものです。 代は異なる、美濃関で作刀していた時代(通称・之定)は、武田信玄の父・信虎の愛刀としても有名で、柴田勝家、明智光秀、細川幽斎・忠興、黒田長政という名だたる戦国武将も愛刀としていました。
その姿は武将好みのドラマチックな刃文をしています。
現在はこの2作品が仕上がっており、残りの二振りはこれからとのこと。
早く見てみたいですね。
残りは約2ヶ月。志士たちの愛刀の「谷町」になろう!
現在この四振りを制作・PRする費用48万円を、みなさんの支援で支えるクラウドファンディングA-Portで開催中。8/4時点で残り67日、達成金額は177,400円とのこと。
支援は1,200円から、手ぬぐいをもらえるのは2,500円のコースから。
コースは全部で9種類ありますが、初回生産の今回16,000円以上のコースの支援をされた方は「谷町=タニマチ」としてなんと出来上がった手ぬぐいに名前を入れてもらえるほか、31,000円以上は額装にしてもらえるそうです。これはプレミアになりそうですね。
谷町(タニマチ)とは、もともと、力士の支援者をさす言葉。
その昔、大坂谷町の相撲好きの有力者が力士の後ろ盾となり、様々な便宜を図り支援したことから、使われるようになったとされています。
これから善養寺さんは9月までに残りの二振りを仕上げる予定だそうなので、残りの完成を待って選ぶ楽しみもあります。
さて、最近は真田丸のヒットで戦国テーマの記事が多かったわけですが、日本刀は変わらずの大人気ですし、幕末も来年の維新150年にむけてこれから各地でいろいろなプロジェクトが始まってくるでしょう。
今後のプロジェクトの様子はFacebookページなどでも報告されるとのことなので、興味をもった谷町志望の日本刀ファン、幕末ファンのみなさんはチェックを忘れずに。
締切は10/10(月)23:59までですよ!
参照元:
「近藤勇・坂本龍馬・土方歳三・西郷隆盛手ぬぐいで、武士の魂、日本の心を表現したい」
クラウドファンディングサイトA-port
合同会社入谷のわき オフィシャルサイト
Facebookページ
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※修正のお知らせ及びお詫び
当記事の「2017年は明治維新150周年」について、2018年が明治維新150年というご指摘をいただきました。
弊誌としては今回の「入谷のわき」様のリリース情報に記載の「来年2017年は幕末維新150年です。」との記載を優先して記載しましたが、誤解を招くため、2018年という記載へ修正させていただきました。
ご迷惑をおかけし申し訳ありませんでした。
歴人マガジン編集部 編集長Y
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